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墓地の探査−間違いやすい解釈

 

使用機器:Noggin500MHzアンテナ スマートカートシステム

   
 

地中レーダは、棺のような非金属の物質も探知可能なため、墓地の探査にもよく利用されます。また、棺はなく墓穴のみでも、掘削時の地盤の乱れを捉えることで検出できます。しかしながら、他の多くの探査でも同じ事が言えますが、データを解釈する上で偏見を持たないことが重要です。これは実際の結果が予測していたものと異なる可能性があるということです。

Noggin500を使用して、南アフリカ、プレトリアにある墓標のない墓地を探査しました。
図1は断面図の一つです。同様な深度に等間隔で双曲線の反応が見られます。
通常、これらの双曲線が墓穴をあらわしていると解釈されます。しかし、深度スライスで見てみると、予期しなかった興味深いパターンが現れ、これにより当初の解釈を変えることになりました。

20×10mの範囲で、長さ20m、0.5m間隔で平行に21測線のデータを取得しました。
よく見てみると、断面図に見られる双曲線の反応は、深度スライス中の墓穴の反応と一致していないことがわかります。
実際には、双曲線部分は墓穴と墓穴の「間部分」からの強い反応で、深度スライス中の墓穴とみられる場所は弱い(低振幅の)反応としてあらわれています。


図1


図2

図2は3.5mの測線のもので、この付近にはいくつもの墓穴が並んでいます。
断面図を見ると、深度0.7m付近に強い反応を示す箇所があります。墓穴と墓穴の間部分と思われるこの箇所は、当初墓穴部分からの反応と考えられていたものです。

一方、双曲線がテクスチャー状になっている箇所は、多数の双曲線状の反射が重なり合ってできたものです(図2黄色の囲い部分)。境界は、上部の物質との接触部分がギザギザ状になり非常に凸凹に富んだ形状を示します。
図2で確認されたテクスチャー状の箇所は、おそらく、粗粒土と岩塊から構成されており、それぞれからの反応がこのような反射パターン(形状)を示したと考えられます。

墓穴はこれらの反射が確認されない箇所にあると考えられます。なぜなら、これらの層は穴を掘る際、除去されたと思われるからです。
このケースでは、地中レーダにより直接墓穴の場所が確認されたわけではなく、明瞭な反射のない部分に墓穴が存在するということが判明したことになります。ただし、掘り返すわけにはいかないので実地検証はできていません。

この事例は、いきなりデータの解釈に入る前に、まずはグリッドのデータと深度スライスを全体で見て総合的に判断する必要があることの重要さを示すよい例です。
また、解析者は考えを柔軟にして、当初の見解をくつがえすような証拠が現れた時には、仮説を変更する心構えが必要です。これは一流のGPR解析者になるために必要な技術です。

   

 

 

 

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